英語学習において大切なこととは:「言葉と体験は半分ずつ」

なみのリズムのアサコです。

今日も英語学習に役に立つ情報をお届けしていきます!

今日のテーマは、「言葉と体験は半分ずつ」です。

私が好きな漫画作家さんに、五十嵐大介さんという方がいます。このフレーズは、彼の『魔女』という作品のワンシーンで出てくるものです。

このフレーズはまさに名言です…!!語学学習の本質をついているからです。

このフレーズがどんなふうに英語学習に役に立つのか。まずは作品のお話からさせてください。

 

1. 「本を読むな」

この作品は、文字通り「魔女」の話。

自然豊かな山の中で、魔女と預けられた子どもが暮らしています。子どもは家事などを手伝いながら、生活の仕方を学んでいきます。

その中に、子どもが書斎で本を読んでいるシーンが出てきます。

それを見つけた保護者の魔女。彼女は子どもに、「本を読んではダメ」と言うのです。

子どもは、「なんでダメなの?」と問います。

子どもが本を読むことを止める親なんて、普通はいないですよね。むしろ、本を読まなくて困っている親の方が多いんじゃないでしょうか。

さて、彼女はなぜ、「本を読むな」と言ったのでしょうか。

そして、この子に対して、どう答えたのでしょうか?

彼女が言ったのは…

 

 

 

言葉と体験は半分ずつでないと。あなたにはまだ経験が足りないわ。」ということ。

そしてその後、子どもに「動物がつけた足跡をよんでみなさい」と言いつけます。外は雪一色の銀世界。雪が降りしきる中、子どもは外に放り出されるのです。

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本を読んで物事を理解するには、まだ経験が足りなさすぎる。魔女はそう判断したのでしょう。本を読ませるよりも、経験を積ませることの方を重視しているのです。

私はこのシーンを読んで、「深いなあ…」って思いました。

 

2. 言葉が先か、体験が先か

この世の中には、まず言葉があるのか。それとも先に体験があるのか?

本来は、まず先に体験がある。そしてその次に、体験が言葉によって記述される。

体験→言葉。

本来はこの順番だったはずだと思うのですが、現代では、体験よりも言葉の方が高度に発達しているようです。インターネット時代になって、この動きにますます拍車がかかっているかもしれません。私たちはいつの間にか、体験ではなく本や言葉を通して、先に概念を知るようになっているのです。

メディアがまだ発達していない時代、一般の人にとって戦争は、美しいもののように感じられたこともあったようです。限られた見栄えのいい写真だけが新聞に使われていたからです。しかしメディアが更に発達し、戦場カメラマンによって戦争の実態が報道されるようになると、戦争に対する見方は変わっていきました。

言葉や概念だけでは、真実を知りえません。戦争のひどさは、実体験した人にしかわからないでしょう。実体験にまさるものはありませんが、実体験に近づけるためには、想像力を何とか駆使するしかありません。

言葉だけが先行してしまい、体験が、創造力が、それに伴わないことが多くなってしまっている。それが行き過ぎてしまっていることが、この世の中をゆがめている原因になっているのかもしれません。

魔女はそのことに気づいているからこそ、「本を読むな」と言ったのだと思います。

余談ですが、有名なギリシャの哲学者のソクラテスは、自分の考えを決して本には著しませんでした。ソクラテスの教えを本に著したのは弟子のプラトンの方です。ソクラテスが本を書かなかったのは、物事を言葉に起こすことの危うさを知っていたからです。教えを言葉にしてしまうと、読む人によって解釈が変わってきます。

物事を正確に伝えるには、体験でしか伝えられないものも多いですよね。それを無理に言葉にすると、体験がゆがめられてしまい、自分の意図するところが伝わらなくなってしまうかもしれない。それを恐れたのでしょう。

話は戻りますが、「言葉と体験は半分ずつ」。私の解釈ですが、言葉と体験は車の両輪のようなものだと思うんです。両方ないと、うまくいかないんですね。

 

3. 経験をしないと理解は難しい

これはいろんなことに言えるのですが、語学学習にも同じことが言えます。

私はこのサイトで、「文法が苦手な人は、文法の勉強は最低限にした方がいい」ということを所々で書いています。その理由は、文法というのは、まさに体験の伴わない学習になりがちだからなんです。

人というのは、体験が伴わないと、なかなか物事を理解できないものです。

例えば、私は数学が苦手です。学生時代、分数からして苦手でした^^;ケーキを6等分にして、そこから2つ分食べたら、全体の3分の1を食べたという意味になるのはわかります。それは、実際に経験して、目で見ているから理解できるのです。でも、数学の数式というのは、とっても抽象的で、実体験ができません…。二次関数のグラフを見ても、全くピンときません。何を表しているのかが、はっきりと理解できないし、イメージが全くわかないんです。

フリースクールでは、実際に家を作りながら数学の勉強をするところがあるようです。経験を伴った計算は、きっと忘れることがないでしょう。数学が全くできない私でも、そのような学び方をすれば、少しは数学ができるようになったかもしれません。

もう一度言いますが、どんな人でも、経験したことはなかなか忘れることがありません。一方、経験の伴わない学習は、すぐに忘れる傾向があります。多くの人が、文法が苦手になり、文法の知識をどんどん忘れていきます。これは、体験がないからです。

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でも、学校では文法が重要視される傾向にあります。

私の地元の中学が採用している、受験対策用の英語の学習参考書があります。計算したところ、この参考書の約63パーセントが文法の学習に割かれていました。ちなみにリスニングは約4%ほど。

この文法重視のスタイルをやめ、経験重視にしていけば、みんなもっと英語ができるようになると思うのですが…。

 

4. 不器用な子は英語をどう理解するか

私が数学の二次関数が全く理解できないのと同じように、英語が本当に苦手だという子たちがいます。その子たちが、どんなふうに英語を理解しているか、例に挙げますね。

以前、「英語がとても苦手」だという中学3年生の子と一緒に高校入試の問題を解くことがありました。その子は、本当に英語が読めず、穴埋めの会話問題ですらも解くのに四苦八苦していました。

例えば、”Do you know what happened yesterday?” 「昨日何が起きたか知ってる?」

上の英文にふさわしい答えを選びなさい、という問題です。

その子は”That’s right.”(「その通り」)を答えとして選んでいました。”Do you know~?”ときたら”Yes”か”No”で答える、というパターンで覚えていれば解けるようなやさしい問題だったのですが…。

その子は”That’s right.”の意味を知らなかったわけではありません。ただ、”That’s right.” を「もちろん」という日本語訳で覚えていたんです。

「昨日何が起きたか知ってるよ、もちろんだよっていう意味じゃないの?」と彼は言います。日本語で考えてみると、「その通り」と「もちろん」は同じような文脈で使えるような気がしますね。だから、これを答えとして選んだのですね。

“That’s right.”ではなぜダメなのか。問題集的な解説をすれば、「”That’s right.”は相手が言っていることが正しいと思った時に使うフレーズである。ここでは疑問文でたずねているのだから、Yes/Noで答えるべきだ」という説明になるでしょう。

しかし、この説明で理解できない子がたくさんいることも事実。

こういうことになってしまうのは、「言葉」だけがあって、「体験」がないからですよね。彼らには、実生活で英語を使うという経験がありません。だから、臨場感の高い日本語訳の感覚の方を優先してしまうのです。

体験がないと、本当の意味で言葉を理解することはできない。これって、結構深い話なんです。

理屈で理解できない人は、ある特定の場面で、実際にThat’s rightを使ってみる。もしくは、誰かがそのフレーズを使っている場面を何度か体験する。そして、感覚をつかむほうが早いでしょう。実体験でなくても、仮の体験でもいいのです。そういう練習をしていれば、本当のThat’s rightの意味をだんだん理解できるようになります。日本語訳じゃなくて、英語の言葉、そのものが持つ意味を。

「日本語にだけ訳してちゃダメ。言葉を覚えるときは、どんな場面で使うのかを考えないと」と言ったら、その子は「そんなこと考えたこともない!」と、目を丸くしていました。

 

5.「言葉と体験は、半分ずつ」

私の私見ですが、英語が苦手な人ほど、体験が伴わない文法や言葉を、理解するのがとても難しいようです。そういう人は思い切って、「体験」のない文法の勉強はやめるというのもひとつの手だと思います。

言葉だけを学ぶのではなくて、経験から学んでみるのです。

経験と言っても、必ずしも留学のことを言っているわけではありません。私も英語圏に留学したわけではありません。二次的な体験も、十分経験になり得るんです。

経験から英語を学ぶにはどうすべきか。

私が理想的と考えているのは、まず英語の音を聞き取る力をつけることです。そして、リスニングができるようになった上で英語を学ぶこと。

音は、経験とつながりやすいです。

音をとらえることができれば、実際の会話を聞くことができます。文字からはなかなか感情を読み取れないですが、音からであれば、言葉以外の表現、つまり表情や声のトーン、その場の雰囲気などから、様々な感覚を受け取ることができます。これこそが、体験になるのです。そして自分も英語を声に出して発声練習をするようにします。そうすれば、実際に言葉を使うという体験ができます。

大事なことは、文字だけではなく、音を通し、音から経験を経て言葉を学ぶことなのです。

「言葉と体験は半分ずつ」。

語学学習の座右の銘にしてみてください。


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