英語公用語化の先・・・「英語化は愚民化」ではない未来を考えてみる

なみのリズム・ウェブマスターのシンです。

英語学習のサイトを運営していて最近特に気になるのは、「この先日本の英語環境はどうなっていくのだろう」ということです。
仕事や生活で英語が必要な人はもちろん、それぞれのレベルや目標に応じてすでに学んでいたり学び方を探していたりしているでしょう。
気になっているのは、すでに英語を必要としている人以外の、「英語、別に学んでなくてもいいんじゃないの?」っていう人たちにどんな影響があるのか、またはないのか?ということです。

グローバル化がもてはやされる今の世の中を見るにつけ、英語化が進むのは抑えきれないと感じています。ではグローバル化が進んで英語が広く普及すると私たちの暮らしはどうなるのでしょうか?
施光恒さん著の『英語化は愚民化』 を読んでいろいろ考えさせられました。

まず、今進んでいることの問題点と将来への危惧を挙げます。でも英語化による問題のある将来に焦点を合わせるだけでは面白くないので、少し違う未来を見つけてみたいと思います。
このサイトでは、そんな未来を考えながら英語を学ぶことについて、いろいろな記事を載せていますし今後もその視点で記事を増やしていくつもりです。

どんな未来になるかは正確には分からないですが、英語が日本に今よりももっともっと広がったとしても、日本語と日本的な大切なものを失わず、英語ができなくても自分の能力を発揮できる社会になることを願っています。

 

英語化は、グローバルエリートによる植民地政策?

最近の大きな出来事では、TPPが挙げられます。
言葉に関することで特に驚いたのは二点(ISD条項など他の大きな問題点はここでは触れません)。政府調達の条項とTPPの正文は日本語版がない(英語、スペイン語、フランス語)こと。TPPの圏域内では第2位の経済規模を誇る言語なのにですよ。

政府調達については、以下です。

日本語の概要版53頁「政府調達の章」
○調達計画の公示(第15.7条)
調達機関は、対象調達ごとに、附属書に掲げる適当な紙面又は電子的手段により調達計画の公示を行うこと、締約国は、調達計画の公示に英語を用いるよう努めること等を規定。

政府調達とありますが、地方公共事業も該当するので、地方自治体の職員や入札対象事業者も影響を受けそうです。
また、現在でもある程度大きな事業(事業費で線引き)については海外の事業主も入札に参加できますが、今後この事業費の要件が緩和される方向のようです。

これだと地方自治体の中に、英語で計画書を作成する部署ができたり、英語ができる人を嘱託で入れたりと今までより事務費が増えるのは目に見えています。

他にも現在と異なるいろいろな状況が出てきそうです。
例えば、海外の事業者が地方の橋工事を落札し、安い外国人労働者を使って工事をする。
海外の事業者が親請けで、日本の工務店が下請け。

地方にも日本語が話せない外国人が増え、言葉が通じない地域の人が困惑することが予想されます。

もちろん、デメリットだけではないはずです。
公共事業ではないですが最近取りざたされているマンションが傾いた問題では、基礎の杭が支持層という地盤まで達しておらず、データ流用で施行検査を通したことがあります。
日本の商慣行ではルールより事業者同士の関係性を重視し、問題があっても見過ごすという見方ができ、ルールを重視する海外の事業者も公正に入札に参加できるようにした方がよい、とする見方ができるわけです。

日本の事業者と海外の事業者のどちらがまともなのか?分からないです。工事については詳しくないのでこのくらいにさせて下さい。
政府調達は工事を行う公共事業だけではなく、物品の調達なんかも含まれてきます。地域の子供たちの給食にアメリカ産のものが増えるようにするために、地方の職員が一生懸命英語で調達計画書作成するという起こるかもしれません。んなバカな・・・。

今までは、比ゆ的に「日本はアメリカの植民地」だという言い方がなされてきましたが、これだとますます本当の植民地に見えてきますね。

『英語化は愚民化』では、まさにこういった英語を使うグローバルエリートとその下で使用人のように英語と現地語(ここでは日本語)を使う人=先の例では地方の職員、さらにその下の現地語しか使えない人、と階層が分かれてしまうことを問題視しています。
格差がますます広がって、不安定な社会になるというのです。
むう、絵空事ではなく、将来大きな問題が起きそうな状況になってきました。

他にも、英語公用語化によって、文化が失われるという大きな問題を抱えていると指摘しています。
言語は単なる意思伝達のツールではなく、文化、習慣、思考、行動様式などに大いに影響を与えていますし、また、影響を受けています。
使う言語がかわれば、言語から影響を受ける日本人としてのアイデンティティが失われる危険性があります。

英語教育がもっと盛んになって、英語圏の教育業者がどんどん進出してくるようになるでしょう。英語教育は、日本の成長産業になるに違いありません。
民間で英語教育が広がれば、公教育を補うといういい面と、公教育しか受けられない経済環境の人たちは英語力を高めにくいという格差が広がっていくでしょう。
英語圏の教育業者が、英語圏の文化、考え方で教育していくようになると、日本的な考え方・習慣などが追いやられ、欧米式を強要されるようになるかもしれません。

いろいろな要素が絡み合いながら、格差が広がっていく社会になることが見えます。暗いなあこの話も・・・。

 

英語が公用語になっても

でもですよ。そうじゃあない未来もあるはずです。

政治や経済の上のほうでは、英語が公用語になって英語が使える(だけの)エリートが高い地位を得るようになるでしょう。「だけの」を強調しておきます。

でも、一般の人どうしではどうでしょう。一般の日本人とアメリカ人、欧州人、アジア人などです。
今、世界中で日本のサブカルチャーは大人気です(もちろん本格的な文化もです)。アニメ、ゲーム、マンガ・・・。娯楽だけでなく、食、芸術、伝統工芸などでも世界中から尊敬を集めているスゴイ人たちが、それぞれの分野で活躍しています。

将来ですよ、こんなすばらしい日本の物事を学びたい外国人がいて、日本に学びに来たとします。そして「英語が公用語なんだから、英語で教えろ」と弟子入りする人がいるでしょうか?
そんな態度で来たら、師匠が笑って流したとしても先に来て学んでいる外国人につまみ出されるに違いないです。
武術家だったら先輩にフクロにされて放り出されるんじゃないでしょうか。
「世界不思議発見」でお米をテーマにした回があって、印象に残ったシーンがあります。山形にお米作りを学びに着ているイギリス人がいて、「俺の作ったお米がうまいんだ」と日本語で誇らしげに言っていました
日本に学びに来て、その対象にほれ込んだら師匠が英語を使えたとしても日本語でもっともっと深く学びたいと思うのは当然のことですよね。

前に近くにワークステイできていたアメリカ人は、日本のゲームが大好きで、ドラクエの音楽のコンサートに行くのを楽しみにしていました。
他にも、日本のいろいろなゲームを知っていて、昔やったゲームの話で盛り上がったりしましたよ。
日本語でゲームをやりたいといっていましたが、話すより読むのが難しく(漢字が問題といっていました)、なかなかできていないと悔しそうでした。彼はゲームだけでなく宮崎アニメも大好きで、どれがいちばん好きと僕に聞いてきたので「ラピュタ」と答えるとMe too.とうれしそうに返してきました。
他にも、和菓子作りを学びたいとか、日本の伝統工芸に魅力を感じてやってくる外国人は多いです。

日本的なことを学びに日本に来る外国人は日本語を学ぶようになるので、「英語と日本語が使われていいね」というのが今でもおきている事です。でもそれだけではないはずですよ。この先にある、もっとワクワクできる未来を妄想しています。

それは、世界で英語が標準になってくると、逆に現地語とミックスした英語がそれぞれの国で使われるようになってくると言うこと。使われるだけではなく、標準的な英語しかできない人にとっては、間違っていると感じるだけでなく「何を言っているのか分からない」というくらい違う英語になっているのいうことです。
日本でいうと、日本語化した英語です。一人称がたくさんあったり、語順が違っていたり、時制がなかったり、遠まわしであいまいな表現が増えたり。

日本語の中でもあるでしょ、方言が違うと意味が変わり通じなくなる例が。例えば言葉の使い方で、関東人の妻に通じなかった例。「今朝は冷たかったなあ」「???冷たい、何?」うちのあたりでは、冬になると空気が冷たく感じるので、「寒い」より「冷たい」といいます。変ですか?

英語でも国が違えば同じ単語でも少し違う意味で使う例がありますよね。
アメリカ英語とイギリス英語での例「留学プラザ」面白いですよ。

また「タタミゼ」効果というのがあって、日本に長く住んでいる外国人は、本国に帰って母国語で話すとき、言葉の使い方まで変わってしまう、あいまいさを好んだり、奥ゆかしくなったりするって言うんです。

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言葉って奥が深いなあと感じてしまいます。

つまり言いたいのは、最初の大きな問題点としてグローバルエリートに支配された単一文化的な植民地各国という未来ではなく、世界共通で標準英語がありながら、多様な現地語と融合した英語と現地語が同居する世界です。日本人なら、日本語と英語ができる人は「日本語英語」が使える。日本に学びに来たイギリス人は、「日本語英語」を使って日本語に慣れ、日本語を学んでいくって感じです。
言語学的におかしなことを言っているのかもしれません。

でも、日本に住んでいて、日本語に慣れ親しんでいて、日本文化の偉大さを実感すると、やすやすと英語圏の文化に支配されるとは思えないし、思いたくないです。自分たちの中にある日本的な「存在」に自信をもって英語の学ぶ人が増えていくよう、このサイトをやっていきたいです。

参考資料

TPP(環太平洋パートナーシップ協定)の全章概要PDF 日本語
英語化は愚民化 日本の国力が地に落ちる (集英社新書)
タタミゼについての参考書籍
日本の感性が世界を変える: 言語生態学的文明論 (新潮選書)

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