小説の読解力を磨く―オススメ英語絵本「ビロードうさぎ」のことなど、あれこれ

今日は、特に学習ネタというわけではないのですが、小説を読む力、最近読んで感銘を受けた絵本「ビロードうさぎ」のことなどについて書きます。

このブログでは、いつも「英語学習のコツ」について書いているのですが、たまには日記みたいな記事も書いてみようかと。関心のある方は、お付き合いいただければ幸いです^^

普段、大学受験生を教えることが多いので、説明文はいやというほど読んできたのですが、仕事では小説って読む機会がほぼないんです(大学受験で、小説を定番で出題してるのは東大くらいなので)。

最近の世の中的にも、実用的な論理的文章がかなり重視される傾向にあります。昭和の時代には、文学が結構重視されていたように思いますが、これも時代の流れでしょうか。英検1級の試験にすら小説があるわけでもなく、英語の資格試験を取るのに、小説を読む力は全く必要ないわけです。

でも、「物語が持つ力」は確実にあると思っていて。このパワーをもっと使ってもいいんじゃないか、と思っています。

子どもの頃に読んだ絵本、小学校の時間の紙芝居、親が読み聞かせてくれたおとぎ話。こういったものは大人になったら話としてはほぼ忘れてしまってはいるのですが、言葉の印象、想像の世界、そういったものが、言語の発達(それだけじゃないですが)には大きな影響を与えていただろうと思います。

知人がストーリーテリング(絵本の読み聞かせ)のボランティアをしていて、そこから聞く話や、10年位前にイギリスでストーリーテラーの朗読を聞き、その身にズシンと迫ってくるような、声の力強さを目の当たりにして、「物語の朗読にはこんなにも力があるのか」と感じたことがありました。

学校の英語の教科書に掲載されている話はどれも素晴らしいのですが、どれも第三者視点での「説明」なので、ナレーションは淡々としているし、印象には残りにくい。普段こういう音声を聞き慣れているときに、優れたストーリーテラーの迫真に迫る演技、朗読を聞くと、もう、全然違うわけです。

言葉の細部がわからなくても、その演技から、「今、何かすごいことが起きたんだ」と「体感」するものがあるわけです。体感するものがあり、それに言葉がのっかってくるわけです。これが、強烈な体験になるんですね。

ところで、私の母は小説が大好きな人で、「最近はこれを読んで、あれが面白かった、これが面白かった」といろいろ教えてくれます。去年くらいに「『ザリガニのなくところ』は面白いわよ」と聞いて、どうせなら原書で読もうと思い、原書を購入。

が、しかし。

自然描写の多さから、普段触れない英単語が結構多くて、途中読み進められなくなってしまったんですよね・・・

先述した通り、英検1級を取るのにもTOEIC満点取るのにも、小説を読む力は全く必要ないんですが、「英語得意です!でも、小説を読むのは自信がありません!」というのもどうなのかなと常々思っていまして、「小説をストレスなく読めるようにしよう」というのが、今の私のテーマです。

近年原書で読み通したのは、カズオイシグロの「私を離さないで」。細かい心情の表現が難しかったけど、知らない単語はそこまで気にならなかった。でも、「自然描写になると弱い…、どうしたら、自然描写関連のボキャブラリーを増やせるかな?ああそうだ、子どもの絵本とオーディオから始めればいいんだ。そうすれば、自然と語彙が増えるはず」と思い、先月から読み始めて、20冊位読みました。

ピーターパンは、昔何度も演劇や本で見聞きしたはずなのに、内容をすっかり忘れている。そして、大人になってから読むと、印象が大分違うんですね。昔はとってもワクワクしたのに、今は特に何も感じない(苦笑)

一方、「ビロードうさぎ」”The Velveteen Rabbit”は子ども向けの本でありながら、大人の私にも心にしんみりと響く、心に残る本でした。今まで読んだ中で、一番よかった。学校英語では見かけない単語もたくさんあるけれど、文章としてはやさしいので、ぜひ大人の英語学習者の方には読んでいただきたいなぁ、と思います。

あらすじは、うさぎのぬいぐるみが、持ち主の男の子に本当に愛されることで、本物のウサギになるというもの。たくさんあるうちのおもちゃのひとつだから、途中忘れられてしまったり、新しいぬいぐるみに心を奪われたり。シンプルなんですけど、ウサギの気持ちにしんみり、としてしまいます。調べてみると、アメリカでは学生がよく演じる劇の演目だそうで。やはり名作なんでしょうね。

名作にはどれもひな型があるようですが、「ビロードうさぎ」を読んで思い浮かべたのが、カズオイシグロの「クララとおひさま」です。こちらはAIロボットと少女の交流を描いたお話(こっちもそのうちに原書で読みたいなー)。

似たような話の映画としては、アンドロイドと人間が共演する、平田オリザ作の映画「さようなら」があります。主に最後まで仕えたアンドロイド。主がいなくなったそのあとの姿が…非常に切なかったです。

長編映画「さようなら」製作プロジェクト!平田オリザ×石黒浩研究室によるアンドロイド演劇を映画化! – クラウドファンディングのMotionGallery (motion-gallery.net)

人間である主に奉仕する、人間でないもの(しかし、そこには魂が感じられる)の運命というのは、永遠のテーマなのかもしれません。

余談ですが、劇作家の平田オリザさんは、高2のコミュニケーション英語の教科書でも取り上げられています。高校の時に自転車で世界中を旅したことについて書かれています。そして、平田さん作の「さようなら」で共演したアンドロイドの制作者である石黒教授の話もまた、高1の教科書で取り上げられているんですよね。

これは偶然?いや、編者の意図でしょうか。編者の方もきっと、「さようなら」を観たのかな?高校の教科書では、私好みの話が割と取り上げられているので、もし教科書を作った方々と話す機会があったら、盛り上がるんじゃないかなって思っています(勝手に)。

AI技術が進化している近年、ビロードうさぎが本物のウサギになったように、AIが人間にどこまで近づくのか、そういう日が…来るのか来ないのか。いずれにせよ、生きているうちに、社会は間違いなく大きく変化するんだろうな。楽しみですね。