1分英語豆知識のコーナー。
文化を知れば、英語がもっとわかるはず。
今日は聖書の教えから、英単語の意味を解説していきます!
今回のテーマは「落穂ひろい」です。
「落穂ひろい」って?
収穫の秋ですね。
私は里山に住んでいて、家の周りには田畑が広がっています。
稲の刈り取りはもうとっくに終り、山の紅葉がきれいになってきました。
トラクターで稲を刈り取った後の田んぼは、稲ひとつ残っておらず、きれいな状態になっています。
草ひとつなくてとてもきれいではあるのですが、同時にちょっと殺風景な感じでもあるかも…。
今でこそそんな風景ですが、稲を手で刈り取っていた時代の収穫後の風景というのは、もっと違っていただろうと思います。
手で刈ると、刈り残しがどうしてもあったり、稲を束ねるときに穂が落ちたりします。そうしてバラバラと落ちた穂を拾って集めることを「落穂ひろい」と言います。
さて、この落穂ひろい。英語でなんて言うかわかりますか?
「落穂ひろい」は英語ではgleaningと言います。
でも、英語のgleaningは、落穂を拾うことだけを意味しているわけではありません。
そこには、宗教的な意味も含まれているんです。
「落穂ひろい」の宗教的な意味
「落穂ひろい」と言えば、ミレーという画家の有名な絵がありますよね。

この絵に対して、どんな印象を持ちますか?
私は昔、世界史の資料集でこの絵を見たときには、単にのどかな田園風景だなとしか思いませんでした。
そのように思っている人は私だけではないかも…
でも、「落穂ひろい」は、本当は哀しい情景を描いた絵なんです。
絵をよーく見てみると、もう何も残っていないようなところを、つぶさに必死に探しているような、そんな印象を受けます。
その一方、後ろの方には、高ーく積まれた収穫物の山、山、山…。とても対照的ですね。
旧約聖書の中には、「田畑を収穫する際には、すべて刈り取ってはならない」という教えがあります。
要は、「収穫の際の取り残しはそのまま残しておけ」ということですね。
これは、異国からやってきた人や、未亡人など、貧しい人がおこぼれをあずかれるようにするためです。
その昔、貧しくて食べ物に困っている人は、収穫した後の他人の田畑に入り、収穫しきれなかった作物を拾うことで、食べ物にありついていたのでした。
そして、田畑の持ち主もそれを黙認していたのです。黙認というよりも、そうすることが義務だったのでしょう。
それを表している絵がミレーの「落穂ひろい」なんです。
そう考えると、絵に対する印象が全く変わってきますよね。
gleanという言葉の広がり
gleaningの意味が分かると、文脈がつかみやすくなります。
例えば、「トランジション・タウン」という環境活動があるのですが、その中のプロジェクト名に”Gleaning”が使われています。その名も、”Suncoast Gleaning Project”(アメリカ)。
このプロジェクトでは、ボランティアが農家さんのところに行き、余剰分の農作物を収穫。フードバンクに寄付し、その食べ物を必要としている家族のもとへ届けるそうです。しかも、オーガニック!
ボランティアも収穫物をもらえますし、農家さんも余剰分の作物を寄付することで税金を節約できるとのこと。
まさに現代版のgleaning。「落穂ひろい」の意味を知っていると、活動の内容も理解しやすいですね。
現代の日本にあてはめて考えると、ホームレスの人々が空き缶ひろいをするのもgleaningと言えるかもしれません。
また、動詞のgleanには、「情報や知識などを少しずつ集める」という意味もあります。
そこには「苦労して」というニュアンスが含まれますが、落穂ひろいのそもそもの意味を考えると、納得できると思います。
聖書を読んでいると、いろいろなるほどなと思うことがあります。
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