「英文を速く読めるようになりたい」というのは、英語を学習する人にとっては、誰にとっても目標のひとつではないでしょうか。
けれども、この「速く読む」という作業がとても難しいんですよね。私もいろんな生徒さんを教えていますが、ここで壁にぶち当たる人は多いです。
速く読むためには、一体どうしたらいいのでしょう?
答えをズバリ言ってしまえば、その最大の秘訣は、英語を「直読直解する」、つまり、英文をイメージで理解するということです。
しかし、多くの人がやってしまっているのが、「日本語に訳してから英文を理解する」という作業です。でも、訳していたら速く読めるようにはなりませんよね。訳す分だけ時間がかかってしまいます。
そこで、理想なのは、英語を英語のままに理解するということです。
つまり、「英語を直読直解する」ということ。これは、音読を推奨している東進ハイスクールの安河内哲也さんがテキストで繰り返し言っていることですね。
でも、「『英語を直読直解する』とはどういうことなのかわからないし、どうやったらいいのかわからない」という人も多いのではないでしょうか。
そんな人のために、直読直解の意味を理解し、直読直解を徹底して実践するためのコツを教えます。
英語をイメージで理解するということ
私たちは、言葉から具体的なイメージ(心象)を心の中で思い浮かべることで物事を理解しています。
例えば、「りんご」と日本語で聞いたら、次の写真のような、具体的な「りんご」を思い浮かべるはずです。

もし「りんご」を知らない宇宙人がいるとして、彼らが「りんご」という言葉を聞いたとしたら、理解できないですよね。
でも、もし図鑑があって、りんごの写真があったら、「なるほど、これが『りんご』か。わが星の食べ物の○○に似ているな」という風に考えて、りんごというものを理解するかもしれません^^;
このプロセスは理解にちょっと時間がかかりますよね。実は、私たちも日本語を通して英語を理解しようとするとき、似たようなことをやっているのですが。
これは最近の教科書に載っていた話ですが、明治時代、福沢諭吉がはじめて”democracy”という単語を聞いたとき、日本にはdemocracyがなかったので、democracyの本当の意味がわからなかったそうです。実際にアメリカを訪れて、アメリカの大統領が選挙で選ばれるのを見て初めて、democracy=「民主主義」の意味を理解したそうです。日本の権力者はみんな世襲制だったので、その仕組みにびっくりしたそうです。「民主主義」という概念は新しかったわけですね。
このエピソードのように、実際に経験すること/見るものから直接英語を学ぶことが理想なんです。そうすれば、日本語訳に頼らなくても英文を理解することができるようになります。これができるととっても速いですよね。まあ、「これは理想的には」ということであって、日本国内で100%それを実践するには難しいものがありますけど…。
しかし、直読直解を身に付けるために、国内で学習していてもできることはあります。以下で、勉強法をご紹介していきます。
①写真やイラストでフレーズを覚えてみよう
例えば、”tie a small knot”というフレーズがあります。これをひとつひとつの単語に忠実に訳すと、
tie a small knot
結ぶ 小さな結び目を
となりますね。では、「小さな結び目を結ぶ」という直訳から、英文のイメージはぱっと思い浮かぶでしょうか?ちょっとわかりにくいかもしれません。
でもこのフレーズを、写真で覚えてしまったらどうでしょうか。
tie a small knot

ちょっとぼやけててすみません…。針山と針、そして糸です^^;
同じように、他のフレーズも写真で覚えてみましょう。
do a push up

英語のフレーズだけ読んだら、push upって何を指すのかわからない人も多いかもしれませんね。でも、写真の、地面をpushする動作を見たら「なるほど!」って思うでしょう?はい、腕立て伏せですね。
shake hands

shakeとhandsを直訳したら、「手を振る」で意味不明かもしれません。でもイラストを見れば、一目瞭然ですね。
このように見ていくと、日本語訳よりも、写真が表すイメージの方が強く印象に残ります。そして、意味が生き生きと脳裏に浮かびますね。英文を読むときにも、このように、英文の意味が表す、生き生きとしたイメージを思い浮かべながら読めるようになることが理想的なんです。
このように、日本語訳を介さず、直イメージすることが「直読直解」なのです。これができると、英語がとっても速く読めるようになります。
②身体操作などを表す英文を使って読解練習をしてみよう

では、次はフレーズではなく、ある程度まとまった文を使って「直読直解」の練習をしていきましょう。
その素材としてピッタリなのは、具体的で目に見える動きを表す英文です。目に見えるものはイメージしやすく、わかりやすいからです。
例えば、次の英文はサーフィンボードの上に立つときの動作について説明したものです(大学受験のセンターレベルの英文です)。英文の意味を想像しながら読んでみてください(参考までにスラッシュを引いておきます)。
Now it’s time / to learn how to stand up. //Lie on your chest, /your head up, /looking ahead. //Put your hands on the board /beside your shoulders /palm down /like you are going to /do a push up.// Push your upper body up /while at the same time /you sweep your feet /under you, /positioning them on the line /down the middle of the board, /so your weight /is centered on the board.//
(大意)
では、立ち方を学んでいきましょう。胸をボードに付けて、頭を上げ、前を見てください。手は肩の横におき、手のひらは下に向けてください。腕立て伏せをするときのようにね。上半身を手で押し上げて、同時に足を体の下にすっと持ってきます。そして足をボードの真ん中を通る線のところへ持ってきてください。重心がボードの中心に来るように。
(※英文は、河合塾編2012マーク式模試問題集英語のリスニング問題より一部抜粋をさせていただいています)
この英文を、何回も何回も読んでみてください。
実際に、サーフィンボードが目の前にあると仮定して、その上に立つ仕草をしながら読むのです。そうすると、日本語訳をするより、動作と英文を結び付けた方が、速く理解できますよね。
日本語でも、哲学とか、抽象的な話というのは理解しにくいです。例えば、「無知の知を知れ」と小学生に言っても、小学生には何のことだかわからないでしょう。それは、具体的なイメージが思い浮かびにくいからですよね。
大人は経験が豊富なので、自分の経験と照らし合わせて「無知の知」という概念を理解します。しかし、大人であっても、英語学習者にとっては英文で抽象的な概念を理解することは難しいです。
ということで、まず、物語のように動きをイメージしやすい英文を読んで「直読直解」をマスターし、徐々に抽象的な概念を伴う英文を使っていくといいでしょう。
ちなみに、イメージで英文をとらえるためには、英語の語順を感覚としてつかんでおくことが大事です。以下の記事では、文法用語を使わずに日本語と英語の語順の最大の違いを説明しています。ぜひ読んでみてください。
参考までに、先ほどの英文のスラッシュリーディング用スクリプトもつけておきます。
Now it’s time さあ、時間です/ to learn how to stand up. 立ち方を学ぶ//Lie on your chest, 胸をつけて横たわって/your head up, 頭を上げて/looking ahead. 前を見ましょう//Put your hands on the board 手をボードにおいてください/beside your shoulders 肩の脇に/palm down 手のひらを下にして/like you are going to ~するように/do a push up.腕立て伏せを// Push your upper body up 上半身を押し上げてください/while at the same time 同時に/you sweep your feet 足をすっと持ってきてください/under you, あなたの(体の)下に/positioning them on the line それら=足を線のところに持ってきてください/down the middle of the board,ボードの真ん中にある /so your weight /あなたの重心が~するようにis centered on the board.ボードの真ん中にくる//
多くの人が、まず英文を日本語訳にするというところでつまずいています。訳すという作業は、人によっては大変だったりします。でも、日本語訳に頼らず英文を読めるようになると、読むのがすごく楽になります。
ぜひ実践してみてくださいね!
P.S
イメージで英語学習する方法についてもっと知りたい方は、
○『壁』を破るためのイメージ英語学習ガイドブック
○自分の望む英語力を手に入れる!3か月速習オーディオセミナー
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