最近、「TOEICの問題内容が改定される」というニュースが出ました。
http://www.toeic.or.jp/press/2015/p049.html
もう、知っている方も多いのではないでしょうか?
私がこれを最初に聞いて思ったのは…
「あー、また難しくなるってことだな。」ということ。
それと、
「これで、TOEIC業界が更に儲かるのかな?(笑)」ということでした^^;
変更内容は、直接上のURLを見てもらった方が早いと思うんですけど、
・写真問題や文法問題が少なくなって、代わりに会話問題が増える。
・省略形(want to/ going toだったら→wanna / gonna)や断片的な表現が入る。
・チャットなどオンラインの内容を使った内容が出題される。
・3つの文書に関連した問題が出題される。
・リスニングでは、3人の会話が出題される。
というような感じ。
英語は日々変化しています。実際に使われている日常英語やビジネス英語を、より反映した形にするため、テストも進化・変化させなければならない。
このようなことが出題形式変更の目的だそうです。
そうすれば、受験者は、実際に使われている英語に即した英語力を反映できるようになる。
このこと自体は素晴らしいことだと思います。
でもね・・・
こうした変化にあまり振り回されないようにしたほうがいいのでは、と思って、この記事を書くことにしました。
まず、難易度についての話なんですけど、
出題形式が変わってもスコアの精度やテストの難易度はこれまでと変わらないとは言うのですけれど…
明らかにこの10年くらいでTOEICって難化したと思うんですよ。
データで実証とかできないですけど、個人的な感覚としては、10年前の方が絶対に点数取りやすかったです。
例えば、昔受けたときは、制限時間が足りなくなることってなかったんです。昔って、英検2級くらいの実力しかなかったときですよ。
読解問題の設問が簡単だったので、すいこら解けたんです。
今、昔と比べたら読むスピードが2倍くらい上がりました。語彙力も文法力ももちろんかなり上がっています。
今は英検1級取得してますから。その実力で、今全力で解いて、なんとか制限時間内におさまるという感じなんです。
これで難易度が同じって、本当なのかなー。ちょっと信じられない感じがあります^^;
そして、今回出題内容が変更されることで、また新たなテクニック本・対策本がどんどん出始めると思います。
そしたら、みんなこぞってそれを買うと思うのです。
そして、出題形式が変更になったことで、英語講師にとっては教えることが増えます。
2人の会話の場合、3人の会話の場合、2つの文書の読解問題を解く場合、3つの文書の読解問題を解く場合…というふうに、パターンが増えるので。
TOEICって本当によくできているな、と思います。
何がって、出題内容やスコアの精度の話じゃなくて、ビジネスの仕組みとしてものすごくよくできていると思う^^;
TOEICって、何か中毒性があるんです。
1回受ける。思ったような点数が取れない。何度でも受けたくなってしまう。
合格とかじゃなくて、スコア制だから、パーフェクトの点を狙いたくなる。
1か月に1回受けることができるものだから、実際、何度でも受けてしまう。
過去問が入手できない。だから、出題内容について、こういう問題があった、ああいう問題があった、あーだこーだとみんなで盛り上がる。
(これはこれで楽しいですが)
スコアが有効なのは2年間だけ。一度いい点を取ったとしても、スコアを維持し続けるためには、また再度受けなくてはいけない。
英検は1回合格したらそれまでですからね。
そう、収益モデルとしてよくできているなという感じがあるのです。
この仕組みを考えた人はスゴイなと思います。
実際TOEICの受験者ってものすごく増えていて、今(2015年)年間240万人ですよね。
240万人×1回のテスト受講料…
すごいお金ですよね!!!

ここまで、英語学習者を夢中にさせているテストは他にはないのではないでしょうか。
今、日本では英語に対してものすごい需要があります。
政府も英語教育に力を入れ始めているし、2018年ごろからスピーキングやリスニングテストも導入されるというので、やれ、小学生のうちから準備しておかないととか、もうなんていうか、「英語勉強しろ!」の嵐ですよね。
私も英語講師なので…
なので、そうやってあおる立場にも自動的になってしまうところがあるのですが…(ここはジレンマ…)。
でもねー…本音を言えば、
人生、英語よりも、もっとやったほうが価値のあることもたくさんあると思うんです。
人生何かをやるには短いですから。
要はですね、言いたいのは、
TOEICにあまり振り回されないでほしい、ということです。
TOEIC対策で英語教えている自分が言うのもなんですけど、
なかなか点数が伸びなくて無駄に英語の勉強に時間を費やしている人も見ると、心苦しくなってしまうんです。
英語の勉強はサクッと終わらるかさっさとやめて、自分の好きなことに時間を使ってほしい。
というのが本音。その意味で、TOEICからは早く卒業できるといいのではないかなと。
このサイトで、「この時代、英語くらい身に付けておかないと!」「そのためには、TOEICでハイスコアを取らないとね!」「そのためには~しないとダメですよ!」という風にあおることもできるんですけど、
本音を言えば、みんなに英語の勉強に苦労してほしくない、無駄に時間を費やしてほしくないという気持ちの方が強いです。
だから、効率のいい勉強法・やり方をなるべく紹介しているわけです。
やり方間違えると泥沼にはまるのが英語の勉強ですから^^;
それに、英語が本当に必要でないのなら、英語の勉強をやめてもいいと思うんです。
この間、地元の英語の先生がやっているラジオ番組に出させてもらってお話ししたんですけど、その先生が言っていたことが印象に残っています。
高校時代、英会話の勉強にものすごく時間を費やしたけど、一方で、ちょっともったいなかったかなという気もする。もっと、高校時代を違った風に過ごすこともできたんじゃないかなと。
私は語学が好きなので、語学の勉強に人生の時間をいくら費やしても惜しくはないんですが^^;;
大多数の人は、そうではないでしょう。
もっと別のことをしたいですよね。
あなたはTOEICに振り回されてはいませんか?
もちろん、TOEICでいい点を取ることは大事です。
でも、もっともっと、大事なことがあるはず。
もちろん、英語力を上げることは大事です。それが本当に必要なら。
でも、英語力をつけるにしても、TOEICで測れないものもたくさんあります。
TOEICでは配慮されないけれど、文化の違いを知ることも大事だし、相手とスムーズにコミュニケーションするには、例えば共感力を磨くことも大事です。
本当に、自分にとって大事なことは何なのか?
そこを見落とさないようにしてほしいです!
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