こんにちは。
なみのリズムのアサコです。
先日、RとLは単なる聞き分けの問題ではないというお話をしました。
参考記事
◇ RとLは聞き分けだけの問題ではない!それ以上に大事なこととは?
上記の記事では、両者をカタカナの「ラ行」でとらえていることで、単語が丸ごと聞こえなくなってしまうなど、リスニングに思った以上の悪影響があるということ、
解決策としては、英語の音をカタカナでとらえず、楽器の音色を聞くのと同じ感覚で、子音の音色そのものに耳を傾けること、そうすることで音を認識できるようになるということをお伝えしました。
今日は、この問題を掘り下げて、具体的にRとLを含む単語がどのように聞こえるかについてお話していきます。
この記事を読めば、LとRが怖くなくなるはず!
今日こそLとRを完全攻略してくださいね。
目次
- Lを含む単語の聞こえ方
- Lは「母音と子音の組み合わせ」である(!)
- 辞書の発音記号を見るだけではわからない発音変化がある!
- Rを含む単語の聞こえ方
- Rを聞き取るための対策法
1.Lを含む単語の聞こえ方
◇ RとLは聞き分けだけの問題ではない!それ以上に大事なこととは? で
「・・・Lは、あまり認識されていないことなのですが、実は発音する直前にあいまい母音が少し入ります。そのあと、「ウ」のような息の流れが止まるような音がします。面倒なのは、単語のどの位置に来るかで、音色が微妙に変わってしまうことです。」
と、お話しました。
Lの位置によって発音はどのように変わるのか?
簡単にまとめると、次のようになります。
1.1. Lが前に来る場合
literature, letter, long, lateなど。
Lが前に来る場合は、「ラ行に似た音」としてとらえても聞こえるので、聞き取りはそれほど問題になりません。
ただし、実際にはわずかに「あいまい母音+息の止まる音」があります。これが認識できることが大事です。
1.2. Lが真ん中に来る場合
finally, polish, collect, pleaseなど。
Lが真ん中に来る場合には、「ラ行に似た音」としてとらえても聞こえるので、それほど問題になりません。
もちろん、RとLの聞き分けの問題はあると思いますが、それによって大きくリスニングに支障が出ることはないです。
1.3. Lが最後に来る場合
school, small, feel, real, cool, pool, wellなど。
これが一番厄介です。
「ラ行に似た音」と認識していると最後のLが聞こえなくなってしまうので、リスニングの際に問題となることが多いです。
上でまとめたように、単語の中でLが前に来る場合と真ん中に来る場合では、単語そのものを聞き取るのに苦労することは少ないと思います。
しかし、問題となるのは「Lが最後に来る場合」です。
例えば、schoolは「スクール」ではなく、「スクゥオウ」と聞こえますし、feelは「フィアウ(フィオウ)」、poolは「プァウ(プォウ)」のような音に聞こえます。

なので、カタカナで「スクール」「フィール」「プール」と思っていたら、実際には似ても似つかない音なので、聞いても認識できません。
以前の私も、この発音のギャップに悩みました。どう考えてもこのように発音される理由がわからず、納得がいかないので、リスニングがますます嫌になってしまったくらいです(苦笑)。
でも、理屈を知れば簡単なんですよ!「なーんだ」って感じです。
2.Lは「母音と子音の組み合わせ」である(!)
答えは最初にすでに述べたのですが^^;、
実はLは、発音の立ち上がりの際にあいまい母音が入るという事実にあります。
ん???
発音の際にあいまい母音を入れるってどういうこと??
と思っている人がほとんどかもしれません。
これはネイティブスピーカーがはっきりと述べていることなので、以下に引用します。
“The L is not a simple consonant; it is a compound made up of a vowel and a consonant. …the sound of L is a combination of [ ə] and [ l].”
(Ann Cook (1991), The American Accent Training, Barrons, P.85)
(訳)「Lは単純な子音ではありません。Lは母音と子音から成る混合物です。…Lの音は、[ə] と [l] の組み合わせなのです。」
私にとって、これは衝撃的な事実でした。
先生を恨むわけではありませんが、
発音を習う、最初の段階でこのことを教えて欲しかったです。。。
そしたら、リスニングに悩まなかったかもしれないのに・・・って思っちゃいます(泣)。
いずれにせよ、このことさえ腑に落ちれば、Lで終わる単語の聞き取りももう難しくありません!
schoolで考えてみましょう。
「スクール」って日本語のように「ー」って伸ばすわけじゃないんですね。音を伸ばす代わりに、Lを発音する前に、あいまい母音əを入れるんです。
あいまい母音は、リラックスした状態で少し口を開け、かるーく「ア」と発音する音です。
参考記事「英語の発音 わかりやすいあいまい母音の見分け方!」
そこから、Lの発音へと移行します。具体的には、舌を上の前歯の歯茎の近くに当てた状態で発音します。
やってみるとわかると思いますが、そうするとカタカナの「ル」のような音にはなりません。
今まで出していた息が、上前歯につけた舌によってせき止められるので、息の止まる音がします。人によって聞こえ方は違うでしょうが、私にはその音が「ウ」のように聞こえます。
結果として、schoolは(私には)「スクォウ」と聞こえます。
文字の説明ではわかりにくいかもしれません。
音声による簡単な解説を作ったのでこちらも聞いてみてください↓(Coming soon)
他の単語にも当てはめて発音してみてください。
そうすれば、feel→「フィアウ(フィオウ)」、pool→「プァウ(プォウ)」と聞こえる理由がわかると思います。
3.辞書の発音記号を見るだけではわからない発音変化がある!
注意が必要なのは、あいまい母音が入るということは辞書の発音記号には書いてない(!!)ってことなんです(泣)。
辞書には、schoolの発音記号は[skúːl]と書いてあります。[ː]って伸ばす音ですから、伸ばす音なんだと思い込んでしまいますよね。
みなさんにはよく知っておいて欲しいので、強調して言いますが、
辞書の発音記号はあくまでも目安だと思ったほうがいいです。
実際の発音とは違う場合が結構あります(このあたりは文字の説明では限界があるので、もっと知りたい!という方には、スカイプレッスンで詳しくお伝えしています)。
では次に、Rの発音について述べていきます。
4. Rを含む単語の聞こえ方
生徒さんにディクテーション練習をしてもらうと、Rの入っている単語を含めた前後がごそっと抜け落ちてしまうことがよくあります。
これは、いったいなぜなのでしょうか?
Lの場合と同じく、Rを「ラ行」の音だととらえているからだと考えられます。
でも、Rも「ラ行」とは似ても似つかない音ですし、特にリエゾンが起きる場合、とらえにくい音となりますので注意が必要です。
以下、Rの位置による音の聞こえ方をまとめました。
4-1. Rが単語の最初に来る場合
write, right, rent, reallyなど
Rが最初に来る場合、単語の聞き取りに苦労することはほとんどないと思いますが(LとRの判別は別として)、実際には、わずかに立ち上がりに「ウ」の音+喉のくぐもった音がします。
「ラ行」ではなく、こうした一連の音であることが認識できるようになるとよいです。
4-2. 真ん中に来る場合
every, cross, promote, corrupt, hurricaneなど
聞き慣れた単語であれば問題となることは少ないと思いますが、単語によっては聞き取りに注意が必要な場合もあります。
例えば、corruptやhurricaneは1音節目と2音節目の間にRがあり、ここでRの音が聞こえにくく感じる、もしくは音が消えたように感じることがあります。結果として、1語でなく2語の単語のように聞こえることもあります。
4-3. 最後に来る場合
He is the owner of the art gallery.
You’re enrolled in the Reward Program. など
Rが単語の最後に来る場合、次の単語とつながってリエゾンが起こる例がよくあります。こうなった場合、聞き取りに問題を抱えやすくなります。
例えば、上記の英文だとthe owner ofのowner ofの部分が聞き落としやすく、また、You’re enrolledのenrolledのenの部分が、前に来ているareに飲み込まれて弱く発音されるので、enrolledのenが非常に聞こえにくくなります。
Rは、舌を口の中のどこにもつけずに喉で発音する子音です。また、上記のような単語の場合には、発音の際に口を動かすわけでもないので、日本人にとってヒントとなる部分が少なく、非常にとらえにくいところがあります。
もともととらえにくい音である上に、単語と単語がつながってリエゾンがおきるので、ますますわかりづらくなるのです。
5. Rを聞き取るための対策法
では、Rを聞き取るためにはどうしたらよいのでしょうか?
多くの場合、聞き取れない原因は、誤った先入観があるために起こります。
何度も言いましたが、Rの音は「ラ行」の音に似ているという認識をやめましょう。
そうすれば、「ラ行でないのなら、じゃあ実際にはどういう音なんだろう?」と聞くときの意識が変わりますよね。それが最初の一歩です。
聴覚器官はきちんと音の差をとらえているので、脳で認識ができるよう意識すればよいわけです。
最初は聞こえなくても、「何かモヤモヤと聞こえる音の中にRが含まれていることが多いな」とか、「なんとなく喉のうなるような低い振動の音がかすかに聞こえる」とか、カタカナに頼らず、音の響きに耳を傾けることができるようになるはずです。
そうなればしめたものです。
今まで雑音のように思えていた音が、意味の伴った音であることが認識できるようになり、脳がきちんとその音を処理してくれるようになります。
そして、子音や母音の響きがわかるようになり、だんだんとクリアに聞こえるようになっていきます。

それは、チューニングの合わないラジオの音が、だんだんとチューニングが合っていくような様子に似ています。
英語がクリアに聞こえる日は、必ずやってきます。
あきらめずに意識して聞く練習を続けてくださいね!
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